1. 5/3/1 プログラムとは?
ジム・ウェンドラー(Jim Wendler)氏によって考案された「5/3/1プログラム」は、パワーリフティングやウェイトトレーニングにおける基本的な4大種目(オーバーヘッドプレス、デッドリフト、ベンチプレス、バックスクワット)の最大挙上重量(1RM)を長期的に、安全かつ確実に向上させるためのプログラムです。
最大の特徴は、毎回のトレーニングで「潰れるギリギリの限界重量」を扱うのではなく、あえてコントロール可能なサブマキシマル(最大未満)の重量を扱い、最終セットで「行える限界のレップ数」に挑戦して自己記録(PR)を積み重ねていく点にあります。
3大コア原則
- トレーニングマックス(TM)基準の計算: 自分の実測1RMの「90%」を「トレーニングマックス(TM)」として設定し、すべてのセットの計算はこのTMを基準に行います。これにより過度な神経疲労とオーバートレーニングを防ぎます。
- AMRAPセット(+セット): 各トレーニング日の第3セット(最終セット)は「5+」「3+」「1+」のように表示され、「最低規定レップをクリアした上で、フォームが崩れない限界の回数まで」挙上します。
- 段階的過負荷(プログレッシブ・オーバーロード): 4週間の1サイクルが終了したら、TMの基準値を「上半身種目は +2.5kg」「下半身種目は +5.0kg」増やして次のサイクルに入ります。
このページで配布しているインポートリンクは、アプリが皆さんの設定した「1RM」から自動的に正しい負荷を算出できるよう、あらかじめTM(1RMの90%)を反映させたパーセンテージに調整してあります。
そのため、アプリの「種目設定」でご自身の正確な1RM(最大重量)を入力しておくだけで、自動的に適切な挙上重量が算出されます。
2. 公式バリエーション(BBB & FSL)
5/3/1プログラムのメインセット(3セット)は非常に強度が高く神経系を発達させますが、全体のボリューム(総挙上重量)が少ないため、筋肥大やフォーム習得を最大化するための追加セット(テンプレート)が推奨されます。
① Boring But Big (BBB) — 筋肥大・バルクアップ重視
最も人気があるボディメイク向けのテンプレートです。メイン種目を終えた後、同じ種目(または拮抗する種目)をトレーニングマックス(TM)の50%〜60%の重量で、10レップ×5セット行います。
1. ベンチプレス: メインの 5/3/1 セット
2. ベンチプレス(BBBアシスタンス): 50% TM × 10レップ × 5セット
3. 背中の補助種目(ラットプルダウンなど): 10レップ × 5セット
② First Set Last (FSL) — ストレングス・疲労管理重視
過度な筋肉痛や疲労を避けつつ、安全に挙上重量(パワー)を伸ばしたい方向けのテンプレートです。メインセット終了後、その日の第1セット目の重量(第1週なら65%、第2週なら70%、第3週なら75%)を使い、5〜8レップ×5セットを追加で行います。フォームの再現性を高めるのに非常に効果的です。
3. 補助種目(アシスタンス)の選定ルール
最新の5/3/1(5/3/1 Forever)では、メイン種目とBBB/FSLに加えて、毎回のトレーニング時に以下の3つのカテゴリからそれぞれ25〜50レップ(中上級者は50〜100レップ)を目安に補助種目を行うことが推奨されています。
| カテゴリ | 代表的な種目 | 狙い・効果 |
|---|---|---|
| ① Push (押し系) | ディップス、ダンベルプレス、プッシュアップ、トライセプスエクステンション | 大胸筋、三角筋前部、上腕三頭筋のボリューム補強 |
| ② Pull (引き系) | 懸垂(チンニング)、ラットプルダウン、ワンハンドロー、フェイスプル | 広背筋、僧帽筋、上腕二頭筋を鍛え、プレス種目の土台を作る |
| ③ Single Leg / Core | ブルガリアンスクワット、ランジ、アブホイール、ハンギングレッグレイズ | 左右のバランス是正、体幹の強化、骨盤の安定性向上 |
4. 重量更新サイクルと停滞(プラトー)打破手順
5/3/1は短期間での急成長ではなく、数ヶ月〜数年単位で着実に挙上重量を積み上げていくためのシステムです。以下のルールに従って重量管理を行います。
① サイクル終了後の重量更新
4週間(3週間のメイン+1週間のディロード)の1サイクルが無事に終了したら、次のサイクルで使用するトレーニングマックス(TM)を以下の幅で加算し、新しい比率で計算し直します。
- 上半身種目(ベンチプレス、オーバーヘッドプレス): +2.5 kg
- 下半身種目(スクワット、デッドリフト): +5.0 kg
※注意: メインセットの最終セット(AMRAP)で目標より大幅に多い回数ができたとしても、上記の加算幅を超えて急激に重量を増やしてはいけません。
② 停滞期(プラトー)におけるTMのリセット手順
各週の最終セットで最低限必要なレップ数(第1週:5回、第2週:3回、第3週:1回)をフォームを維持してクリアできなくなったら、速やかに重量設定を巻き戻します。
- その種目の現在の推定1RM、または直近の挙上記録をベースに新しいTMを算出します。
- 現在のTMの85%〜90%(およそ3〜5サイクル前の重量)まで設定を一度落とします。
- 軽めの重量から再スタートすることで、疲労を抜きつつ綺麗なフォームで爆発的な挙上スピードを意識し、再びプラトーを突破するための助走をつけます。
③ 7th Week Protocol(最新のディロードアプローチ)
現代の5/3/1では、毎サイクル(4週に1回)のディロードに代わって、2サイクル(6週間)ハードにトレーニングを行い、7週目にディロードを挟む「7th Week Protocol」が広く採用されています。これにより、回復力を高いレベルで維持したまま、効率的に筋力向上期を長く維持することができます。
5. サイクル(週)ごとの設定内容
5/3/1は4週間で1サイクルとなっており、週ごとに強度(%)とレップ数が以下のように推移します。
| 週 | 通称 | 第1セット | 第2セット | 第3セット(AMRAP) |
|---|---|---|---|---|
| 第1週 | 5s Week | 65% of TM (58.5% 1RM) × 5 | 75% of TM (67.5% 1RM) × 5 | 85% of TM (76.5% 1RM) × 5+ |
| 第2週 | 3s Week | 70% of TM (63% 1RM) × 3 | 80% of TM (72% 1RM) × 3 | 90% of TM (81% 1RM) × 3+ |
| 第3週 | 5/3/1 Week | 75% of TM (67.5% 1RM) × 5 | 85% of TM (76.5% 1RM) × 3 | 95% of TM (85.5% 1RM) × 1+ |
| 第4週 | Deload | 40% of TM (36% 1RM) × 5 | 50% of TM (45% 1RM) × 5 | 60% of TM (54% 1RM) × 5 (AMRAPなし) |
各週の特徴とトレーニングにおける意識ポイント
第1週(5s Week)の特徴と狙い
サイクルの開始週である第1週は、トレーニングマックス(TM)の85%を最終セットのターゲットとします。中強度の重量で最低5回をクリアした上で、限界レップ数(AMRAP)に挑戦します。この週はまだ肉体的な疲労が少なく余裕があるため、「爆発的な挙上スピード」と「完璧なフォームの維持」を強く意識してください。
第2週(3s Week)の特徴と狙い
第2週は強度が少し高まり、最終セットではTMの90%で最低3レップ以上の挙上を目指します。重量に慣れ始めるタイミングであり、関節に重みがダイレクトに乗るのを感じる週です。最低3レップは確実にクリアすることに加え、調子が良ければ5〜7レップまで回数を伸ばすのが理想です。
第3週(5/3/1 Week)の特徴と狙い
サイクルのピークにあたる第3週は、TMの95%(実質的な1RMの85%以上)で最終セットを行います。最低レップ数は「1回」ですが、この限界重量で何レップス上げられるかが自己ベスト(PR)更新の指標となります。怪我のリスクを避けるためにフォームが完全に崩れる手前でAMRAPセットを終了させてください。
第4週(Deload Week)の特徴と狙い
ピークの翌週である第4週は、意図的に強度を40%〜60%まで落とした「回復(積極的休養)のための週」です。最終セットでのAMRAPは行わず、規定回数で必ず終了します。ここで関節・筋肉・神経系の疲労を取り除くことで、次のサイクルでさらに重量を加算しても成長を続けることができます。
6. メニューのインポートリンク
現在の週に対応するタブを選択し、行いたい種目の「トレリンクにインポート」を押してください。
5/3/1 W1 - OHP
オーバーヘッドプレス単体の本番セットです。補助種目を追加してアレンジしてください。
5/3/1 W1 - デッドリフト
デッドリフトの本番セットです。腰の疲労に注意して行いましょう。
5/3/1 W1 - ベンチプレス
ベンチプレスの本番セットです。代表的な上半身プレスパワー種目です。
5/3/1 W1 - スクワット
バーベルスクワットの本番セットです。下半身を極める王道種目です。
5/3/1 W2 - OHP
第2週(3s Week)の本番セット。レップ数が減り、少し重量がアップします。
5/3/1 W2 - デッドリフト
第2週デッドリフト。3レップずつ丁寧に力を溜めて引くことを意識します。
5/3/1 W2 - ベンチプレス
第2週ベンチプレス。しっかりとしたラックアウトからコントロールします。
5/3/1 W2 - スクワット
第2週スクワット。しゃがみの深さと背中のテンションを崩さない範囲で。
5/3/1 W3 - OHP
第3週(5/3/1 Week)。強度が最も高くなるピーク週です。PRを目指しましょう!
5/3/1 W3 - デッドリフト
第3週デッドリフト。本気の一発、またはそれを超える限界レップに挑みます。
5/3/1 W3 - ベンチプレス
第3週ベンチプレス。セーフティバーをしっかりセットして最大強度に臨みます。
5/3/1 W3 - スクワット
第3週スクワット。最大のスクワット強度に集中し、自己最高記録に挑戦しましょう。
5/3/1 W4 - OHP (Deload)
第4週(デロード)。疲労を回復させ、次のサイクルの土台を作る積極的休養週です。AMRAP(限界)は行いません。
5/3/1 W4 - DL (Deload)
デロード週のデッドリフト。軽い重量でフォームの細部を確認します。
5/3/1 W4 - BP (Deload)
デロード週のベンチプレス。関節の疲労を抜き、ストレッチと軌道の調整を行います。
5/3/1 W4 - SQ (Deload)
デロード週のスクワット。膝や腰の疲労を取り除き、リフレッシュを図ります。
7. 実際に始める際の流れ
- 各メイン種目で限界(1RM)に挑戦するか、重い重量から逆算して「現在の正確な1RM値」を把握します。
- アプリ「トレリンク」の「種目」タブから、対象の4大種目の「設定1RM(または推定1RM)」欄にその数値を設定します。
- このページのリンクから現在の週に応じたメニューをインポートします。
- アプリ上でメニューを起動すると、自動的にあなたの1RMを基準にした適切な重量(2.5kg刻みで丸められたもの)が表示されます!
- 次のサイクルへの進め方: 4週間(1サイクル)が終わったら、1RM設定欄の数値を「スクワットとデッドリフトは +5kg」「ベンチプレスとオーバーヘッドプレスは +2.5kg」手動で増やし、再び第1週のメニューからスタートします。